詰め替え用語辞典
用語 意味

インクジェットプリンター の歴史

インクジェットプリンターには、電圧により変形する圧電素子(ピエゾ素子)を使い、水鉄砲のようにインクを飛び出させるピエゾ式とインクを加熱して飛び出させるサーマル式がある。
ピエゾ式の原理は古くから知られており、インクジェットプリンターにおいても、初期のものはピエゾ式が採用され、1981年にキャノンが発売した最初のインクジェットプリンターも、エプソンが1984年最初に発売したものも、ピエゾ式であった。
サーマル式誕生に関し、次のような有名な話がある。
キャノンの研究室で、インクジェットプリンターの開発をしていた研究員が、熱した半田ごてを誤って、インクの詰まった注射器の針にふれ、熱によりインクが飛び出すことを発見した。という話である。
ちなみにキャノンは、サーマルプリンターに関する基本特許を1977年に出願している。アメリカでは、サーマル式の原理を、コーヒーサーバーを見て、発見したという話があるそうだ。
サーマル式プリンターは、1984年ヒューレットパッカードから最初の製品が発売され、翌1985年には、キャノンから最初のプリンターが発売された。
その後、キャノン、ヒューレットパッカード、レックスマーク、等はサーマル式、エプソンはピエゾ式を中心に開発が進み現在に至っている。
メーカーとプリンターの特徴
●Canon  サーマル式(バブルジェット方式) 
 主要愛称:PIXSUS/ピクサス
 主要インク カラー:染料 ブラック:染料、顔料

●EPSON ピエゾ式(マッハジェット方式) 
 主要愛称:COLORIO/カラリオ
 主要インク カラー:染料、顔料 プラック:染料、顔料

●HP    サーマル式(サーマルインクジェット方式) 
 主要愛称:Deskjet/デスクジェット
 主要インク カラー:染料 ブラック:染料、顔料

●Brother ピエゾ式(チューブ方式)  
 主要愛称:NyMio/マイミーオ
 主要インク カラー:染料 ブラック:顔料

●RICOH ピエゾ式(ジェルジェット方式) 
 主要愛称:IPSIO/イプシオ
 主要インク カラー:顔料 ブラック:顔料
 高粘度速乾性顔料インク:染料の良さと顔料の良さを併せ
 持つ特殊インク

インクジェット2大方式の特徴

インクジェットプリンターには、サーマル式とピエゾ式の2つの方式がある。
サーマル式は、ヒーターで急速にインクに熱(数百℃)を加えインクを吐出するもので、構造が単純で小型化しやすい。一方ピエゾ式は、電圧によりピエゾ素子を変形させることによりインクを噴射させるため、制御が簡単で熱の影響を受けない。

●使用インク
サーマル式はインクに熱を加えるため、昇華インクのように熱を加えることができないインクや沸騰しにくい油性インク等は使えない。ピエゾ式は加熱の必要が無いため、インクの成分はあまり問題にならない。

●印刷スピード
印刷スピードは、ノズルの数とインクの吐出回数が影響する。サーマル式は、仕組みが単純で小型化しやすく、ノズルの集積率を上げることができ、多数のノズルからインクを噴射することにより、印刷スピードを上げることができる。
ピエゾ式は、サーマル式にくらべ小型化がむずかしく、ノズルの数はサーマル式のように増やすことは出来ないが、吐出回数の制御がやりやすく、また、1つのノズルから異なる大きさのインク滴を噴出することもでき、このような制御によりスピードアップを計っている。現時点では、スピードはサーマル式に利があるようだ。

●目詰まり
サーマル式には、コゲーションという問題があり、インクの不純物等がヘッドに焼きつくことがあるが、ノズルを小型化することにより、ノズル内に目詰まりの原因となる気泡が残りにくくなり、目詰まりを防止している。また、インクヘッドとタンク一体型のものも販売されている。
ピエゾ式にはコゲーションの問題は無いが、気泡や乾燥の問題から目詰まりは発生している。またヘッドが複雑で大きくなるためタンク一体型のものは作りにくい。また、顔料インクは溶け切れないで、粒子の状態存在するため目詰まりが起こりやすい。


インクジェットプリンター インクの種類

インクジェットプリンターは、A4サイズの用紙にプリントする、個人用・事務用の他、店内のPR、屋外PR、布・生地へのプリント、マグカップやタイルへのプリント等があります。

●個人用・事務用プリント(詳しくは、染料インク、顔料インクを参照)
 A4〜A3ノビ程度のプリンターで、個人用・事務用として、最も多く使われているプリンターです。インクはきれいで、目詰まり等の少ない染料(水性染料)が主流です。しかし、染料インクは、対光性、耐水性に問題があり、近年EPSONを中心に、顔料(水性顔料)インクが、一部のプリンターで使われるようになりました。

●屋外PR用プリント(詳しくは、ソルベントインクを参照)
屋外PRのためのプリントは、事務用のものとは比較にならない、対光性、耐水性を要求される。そのため、これらの条件を満足するソルベントインクが使われる。

●布・生地へのプリント(詳しくは捺染インク参照)
ポリエステル、綿、シルク、皮革製品などへのプリントに使われるインクで大別して、反応染料インク、酸性染料インク、分散染料インク等、3種類のインクがある。

●マグカップやタイルにプリント(詳しくは昇華インク参照)
ポリエステルをプレコートした陶器等プリントするためのインクで、一度紙にプリントし、熱転写で陶器等に転写します。昇華インクが使われます。

インクと色の組み合わせ


インクジェットプリンターは、色々な色が組みあわされて、画像や文字がプリントされる。一番簡単な組み合わせが、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色の組み合わせで、各社とも、多くのプリンターが発売されている。
この4色に、薄いシアン(ライトシアンまたはフォトシアンと呼ばれる)と薄いマゼンタ(ライトマゼンタまたはフォトマゼンタと呼ばれる)を追加した、6色の組み合わせもよく見られる。
さらに色が追加され、7色〜8色程度のプリンターもある。例えば、EPSONのPM−4000PXでは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、マットブラック、グレイの8色(顔料)が使われている。キャノンでも、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、フォトシアン、フォトマゼンタ、レッド、グリーンの8色(染料)が使われているプリンターも多数ある。その他、染料と顔料の混用も良く見られる。
染料インクと顔料インクで、実際に写真等をプリントした結果を比較してみると、明らかに染料のほうがきれいにみえる。しかし、鮮明さに於いては、顔料の方が優れている。文字等のプリントを比べてみると、顔料はくっきり、はっきりみえるが、染料は何となくたよりない感じがする。このそれぞれの特徴を生かし、ブラック(顔料)、シアン、マゼンタ、イエローの3色を染料インクで構成する、プリンターも,キャノン、hp等のプリンターによく見られる。さらに、ブラックを顔料と染料の2種類としシアン、マゼンタ、イエローの5色プリンターもよく見られる。


願料インク

(水性顔料インク)
Pigment Ink

染料インクが、草、木、花等を原料に始まったのに対し、顔料は泥絵の具、岩絵の具として使われて来たもので、染料のように水やアルコールに溶け切れず、粒子として残ります。また、染料のように透明性が無く、色を重ねると下の色が見えなくなります。言い換えると、色の境界がクッキリ、ハッキリします。染料と比べると、耐光性、耐水性に優れ、長時間の保存に耐えることができます。インクジェットプリンターで、顔料(カラー)が使われたのは、2000年頃からだと思います。(デュッセルドルフ印刷機材展EPSON Stylus Pro7500他発表)その後、国内でもEPSON PM-PX4000等、多くの顔料インク用プリンターが発売されました。

バージンカートリッジ
(Virgin Refillable   Cartridge)


このカートリッジは、純正メーカーではなく、サードパーティがインク詰替えの目的で作った、プリンターインクカートリッジで、インクの詰替えも容易です。中身の見える、透明のものたくさんあります。詰替えは非常に便利です。
一般に、バージンカートリッジにはインクが入っていないため、インクを自由に詰めることが出来、例えばEPSONプリンターで昇華インクにより転写プリントをしたり、好みのインクを入れて、独自の色合いを出す等、いろいろな使い方もできます。
しかし、インクの残量残量管理用ICチップは、(*注)国内用のチップが付いてないものも多い。したがって、純正インクカートリッジから付け替えて使用しなければならないものもあります。また、独自の永久チップを持つものもあり、”連続インク供給システム(continuas ink supply system)”に使われるケースも多い。

*注:日本の同じメーカーが販売するプリンターでも、海外で販売するものと、日本で販売するものは名称も仕様も違います。バージンカートリッジは、多くの場合、外国で販売されるプリンター用に作られており、カートリッジの形状は同じでも、ICチップが異なり、日本で販売されるプリンターでは、そのままでは殆ど使用できない。

互換インクカートリッジ
(Compatible Inkjet Cartridges)

このカートリッジは、バージンカートリッジと同様、プリンターメーカーが作った純正品ではなく、プリンターメーカとは関係の無い別の会社が作ったカートリッジですが、純正品と同様にそのプリンターで使用することができる。
バージンカートリッジとの違いは、このカートリッジにはインクが入っており、純正カートリッジ同じように使用できます。価格は純正品の半額以下(40%〜50%)程度で販売されている。
また、このカートリッジは、詰め替えに対する配慮が無いものが多い。
インクは、カートリッジメーカーによってそれぞれ異なり、バージンカートリッジのように選ぶことは出来ない。
リサイクル インク カートリッジ
(Recycle Ink Cartridges)

使用済み、純正インクカートリッジを回収し、(非純正)工場でインクを注入し販売するもので、海外でも多数利用されている。
日本では、このリサイクルカートリッジに関し、次のような裁判があった。
キャノンの使用済みインクカートリッジに、中国の会社がインクを詰替えたものを、輸入販売していたリサイクルアシストに対し、輸入販売の差止めを求めて訴訟。
一審:東京地裁2004年12月8日判決(該当の特許請求は無効。キャノンの請求を棄却)
 キャノンが販売した時点で特許権の効力は消えている。またインクの詰替えは、製品の修理 の範囲内で、再生品にはあたらない。(キャノン上告)
二審:知財高裁2006年1月31日判決(キャノン勝訴)
一審の判決が覆り、キャノンの勝訴となった。
2007年11月8日、ついにこの問題に関し、最高裁の判決がありました。最高裁は、二審の知財高裁の判決を支持し、キャノンの勝訴が確定しました。

永久チップ

EPSONプリンター等で、インクの残量チェックのためにICチップが付いています。このタイプのカートリッジは、インクを補充してもインクの残量が、0のままではプリントする事ができません。
このため、満タン表示に替える為の道具ICリセッターにより、チップの内容を満タンに復元するする方法と、カートリッジに純正品のチップの代わりに永久チップを取り付けて使う方法があります。永久チップは、プリンターのタイプやドライバーの違いにより、次のように動作が異なります。
1)インクが無くなると、自動的に満タンに復旧する。
2)インクが無くなったら、電源を入れなおすと満タンに復旧する。
3)インクが無くなったら、カートリッジを抜き差しすると満タンに復旧する。
4)残量表示が変わらず常に満タンのまま表示される。
このように、いろいろ機能が異なります。

コゲーション

Kogation

サーマル式プリンタープリンタで発生する、ヘッド詰まり現象の一つで、インクが加熱用のヒーターにより、長時間さらされることによりインクが焦げ付き、ヘッドの目詰まりやヘッドの劣化が発生する。このような現象をコゲーションという。
したがって、加熱用ヒーターを使用しない、ピエゾ式プリンターには、この現象はおこらない。
どうやらこの言葉は、日本語の”焦げ付き”に由来合するそうです。

昇華インク 
(分散染料インク)
Sublimation Ink

昇華インクは、反転した画像を転写用紙にプリントし、アイロンや専用装置により、熱プレスしポリエステル製のTシャツやポロシャツ等に転写する為のインクです。その他ポリエステル樹脂をプレコートした、マグカップや陶器にもプリントすることもできます。
昇華転写を本格的にするには、専用の熱転写装置が必要ですが、小規模のものなら家庭用のアイロンでも転写できます。プリンターも専用の物でなくても、ピエゾ式(エプソン等)のプリンターを使ってプリントすることができます。ただし、CanonやHp等のサーマル式のプリンタ^は使用できません。

染料インク

(水性染料インク)
Dye Ink

インクジェットプリンターでよく使われるインクに、染料インクと顔料インクがあります。染料はもともと草や木、花などの汁液を用いて衣類の染色に利用されていました。
日本では、古くから染料が使われ、飛鳥時代から十二単衣をはじめ、草木染と呼ばれる方法で、いろいろな衣類の染物に使われてきました。もちろん現在使われえているプリンター用の染料は、草や木の汁ではなく合成染料でできたものです。
染料は砂糖や塩と同様、水等に溶け粒子として残らず、扱いやすく多くのプリンターで使用されています。
また、紙の繊維に浸透し透明性があり、インクを重ねることが出来るため、写真等の印刷が非常にきれいにできます。
弱点は、耐久性が顔料よりも弱いこと。色の重なりにより、写真等はきれいにプリントできますが、色の境界がぼやけ文字等のクッキリ性に劣ります。そのため黒インクのみ顔料を使っているプリンターもたくさんあります。

捺染(なっせん)
インク

捺染とは、布に模様を染め付けることを言います。ろうけつ染め、絞り染めなど古くから手作業で行われてきましたが、この分野にインクジェットプリンターが使われるようになりました。インクジェットプリンターで、捺染するやり方には、直接印刷する方法と転写がありますが、ここでは直接布に印刷する方法について説明します。転写については、昇華インクを参照してください。
捺染インク(直接印刷)には、以下のようなインクがあります。
1.反応染料インク:綿・シルクなど天然繊維
2.酸性染料インク:シルク・ウール・皮革
3.分散染料インク:ポリエステル(一般に、直接・昇華転写両用に使われる)
このように繊維の種類によってインクが使い分けされます。プリンターも捺染用のものが各社から発売されています。

ソルベント(溶剤系)
インク

Solvent Ink

このインクは、屋外に長期間設置する、垂れ幕、横断幕、屋外看板などをプリントするためのインクです。ソルベントインクは、顔料インクの1つで、インクの成分を水ではなく有機溶剤で分散させ高い耐水、耐光性を発揮します。例えば水性顔料インクは、屋外に設置すると雨などでインクが流れたり、滲んだり、あるいは色あせが生じるため、ラミネートフィルムによる加工等が必要です。ソルベントインクは、塩化ビニールフィルム等に、インクを浸透させ固定することが出来るため、屋外で長期間使用することができます。
ソルベントインクには大別して、リアルソルベント(高溶剤)インクと、エコソルベント(低溶剤)インクの2つがあり、リアルソルベントインクの扱いには、特別な排気装置の設置や免許が必要です。
プリンターは、ミマキ、ムトー、ローランド・ディージー、セイコーアイ・インフォテック等、業務用大判プリンターメーカー各社から販売されています。